嵐の中で輝いて

一握の砂、大海の一滴にでもなれるものなら喜んで

忍びの国感想 ※ネタバレあり

忍びの国鑑賞当日から翌日にかけて書きました。個人的な感想です。ネタバレあります、かつ胸も頭もいっぱいだったので色々おかしいかもしれません! それはすみません!
あとさんざん皆様おっしゃってることと丸かぶりかもしれませんがそれもすみません!
自分の今の感情を残しておきたいのが主な目的なので、でも公開するのはもちろん共感もイイネもほしい承認欲求厨だからです! すみません!(^q^)←



イギリスでの日本映画のイベント「The Japan Foundation
Touring Film Programme」に、大野智さん主演、和田竜先生原作、中村義洋監督作品「忍びの国」を観に行って参りました。
映画館で1人で映画を観るのは実に…、(えーとブラックサイトぶり。調べたら2008年…?)約10年ぶりです。
忍びの国が日本でめちゃくちゃ好評を博していることは感じてましたし、各国への広がりも心楽しく眺めていましたがやっぱりちょっとさみしいなーとか(中略)
とにかくイギリスで観られるってよ! の報に喜んで転がり、家族の協力を取り付けて盛り上がり、チケット取れなかったらどうしようと夜中不安におそわれたり、へたくそな英語で頑張って予約しようと電話したり(中略)
結局付け焼き刃なオシャレは諦めて若干寝不足ぎみで当日を迎えました!

余裕をもって出たはずが、到着するとすでに長蛇の列。えっこれ何の列ですか? ムモン? まじで?
たぶん他の映画先にやってたからですかね、割引というかセットチケットがあるようなことを言われたのでそれで入る方が多かったのかしら。
スクリーンの入口に行って、そこから列の後ろまで延々歩いたので(ちなみに186名中の160何番でした)ほぼ全員とすれ違ったわけですが
もっと日本人ばっかりかと思ってましたが、現地の方っぽい方や、韓国語を話してる方々もたくさんいらっしゃいました。時間やイベントの性格上か、全体的に年齢層は大人な感じで、参加作品全部観るような方がいっぱいいらっしゃるのかなと思いました。老夫婦カップルとかもいて、私のすぐ後ろは白人男性数人のグループでした。
私の隣に座った方はチビの私に「みえますか?」(たぶん)って聞いてくれて紳士でした。余談。



ここから本編です。ネタバレもあるとおもいます。勘違いも解釈違いもあるかもしれません。私の考えです。
(本当ならせめて5回くらい観てから書きたかった。私のAmazon特製オリジナル風呂敷は日本の実家に届いてしまいました。Blu-rayで予約したのに観てない映画をいきなり買うことに日和って、DVDでいいかな…、って注文し直してから、えっ特典ディスクもBlu-rayなのまじで! 買う~~~! でもまだ間に合うかしら! とか本当に各方面に申し訳ない右往左往をしたので自業自得…、自分を恨みます。余談)



まずは無門殿のこと。
もう観られること自体にのっけから感極まってて、一言も聞き漏らすまい、今か今かと固唾をのんで見詰める私に届いた、のんびりしたコミカルな声
あ、りーだー♡ とすっと力が抜けて、からの
…?
違う
違う!!!
それは見慣れた顔の、いつもよりずっと腑抜けた声の、だけど無門という別人で
一気に作品に引き込まれて翻弄されて涙して…
これが忍びの術にござるか、と笑

とにかく聞きやすく、でも怖いこともさらっと(そこは意識してかどうか、ことさら明るい響きに思えた)言い放つ声のチカラ。
歌うときの澄みきった声とも、バラエティ番組での柔らかくかわいい感じとも違う…、成瀬さんとも榎本さんとも違う、
よく見れば大野さんだし、よく見なくてもめちゃくちゃ美青年なのにそれが全然浮いてなくて、
言ってることは本当に酷いのに嫌悪感は覚えず、ただただ
ああ、そういう生き物なんだなと
自然にそこに存在することで理解させてくれるような説得力で
今まで自分の中にはなかった忍びのイメージを生き生きとみせてくれました。

織田軍との戦いで、報酬(ちなみにツイで見かけた小茄子というのは漬物だと信じて疑いませんでした笑)で釣ったのは初めおもしろかったし、さすが忍びのことよく分かってる! ってテンション上がりましたが、改めて考えるとあまりにもかなしい。里の為でもなく、仲間を救う為でも、忍びの誇りとか、絆とか、そういうものは一切ない…
そして死んだと思われても誰も悲しまない。生きていたと分かっても誰も喜ばない…
彼の悲痛な叫びさえ、誰一人の心も動かさない。
彼はただ強いということを知られているだけで、それが尊敬やリーダーシップに繋がってはいかない。
十二評衆もそうだけど、そこはなんか、悪巧みの上司がギャフンみたいな感じで普通に受け入れてしまってました。
十二評衆の作戦、全部知っても、平兵衛のことを知っても、忍びとしてはそれで普通なんだろうか…
お姫様の姿に少しでもお国を重ねたのか。平兵衛の覚悟に驚いたのか。
無門が変わったのは無門だったから? 平兵衛と対したら誰でも? 平兵衛の弟を殺めたからこそなのかな、考えてたらどんどん分からなくなっていきます…



それからお国殿のこと。
石原さとみちゃん大好きマンな上に敬語萌え属性なので彼女の登場シーンのたびにわくわくさせていただきごちそうさまでございました…!←

さて。
時に見ようによっては身勝手にも、浅はかにも思えてしまってたお国の、悲劇に連なる振る舞いがもう切なくて、、、無門だから大丈夫って思えなかったんだろうな、本当に彼女の中では無門は最後まで自分と同じ普通の人だったんだなって
彼女の存在が、言葉が、無門を変えたけど
彼女もまた
無門を失うかもという予感や、失ってしまったかもという経験に触れて
あれだけ度胸の座った、高い身分だったろうお姫様があんな無茶をして、それは相当な覚悟でありかなり思い切った行動で、
ただ彼女は忍びを分かっていなかった。
無門に大切に大切にされていた自分の、忍びから見た時の命の軽さを知らなかった。
あの瞬間、小茄子の台座でしかなかった彼女
私は、その刹那、彼女のせいで無門は死ぬのだと思いました。
最強の忍びの、外付けの弱点と化してしまった彼女を少し残念にすら思ってしまいました。
分かっていなかったのは私の方でした。
勝手に自分を恥じました。

無門はきっと彼女をどうしたら良いか分からなかったんだろうな
全く異なる境遇で、何が分からないかも分からない同士
それでも心を通わせることができたようにみえた
お国は無門に敬称をつけ、ふたり暮らしていくための稼ぎを求めた…
でも
織田さえいなければ、小茄子がなければ、京へ逃げ延びられれば…、ではないのでしょう、きっと
遅かれ早かれ、と思いました。
このいびつな愛おしい夫婦にとっての安寧の地などなかった。そう思いました。かなしい。



あと平兵衛さん。
彼は本当にあの冒頭の彼と兄弟なのかな? 十二評衆の子なのかな
なぜ彼が忍びの国の中心ちかくにありながら疑問を持つに至ったのか、はもっと知りたいと思いました。こんなこともあろうかと疑問を持つように育てられた… はご都合すぎないか… うーん。
登場シーンあたりでは、あっすごいアクションで無門と戦う人でしょ! って前知識というか偏見で見てて、あれ戦わないの? ってなってたので何か見落としてるかもしれません(このあたりで、あーBlu-rayにしてよかったわ~! って思ってたので一瞬気が散ってました。余談)

平兵衛に生まれた人としての感情は、無門には初め伝わらず
お姫様の自害、そして刀を合わせ、通じるものがあり、遂にお国を失うことで同じ境地に立った無門
彼に最後やっと生まれた感情は、他の忍びにはやはり伝わらない。
平兵衛と無門の対比は同じ台詞により明らかと感じましたが、人ならざるものから脱した彼らが絞り出す台詞が、受け取るもののいない怨嗟が、繰り返されることでそのままの熱を保って私の胸を打つのでしょう。無門の言葉は本当に痛かった…
自分がしたことをされて目覚める、いや、そうされなければ気づけない。そうだよね、ずっとずっと、周りも皆みんな当たり前にしていることだもんね…

かわいそうという言葉も、無門が平兵衛へ
お国が無門へ
そのふたつは同じ言葉でありながら
忍びとして生きられなかったことへ
忍びとしてしか生きてこられなかったことへと真逆に感じました。
お国の真意は愛なのか、ネズミ君へ向けたのと同じただの憐憫なのか、といえば憐憫にも思える…、名を求めたのは愛だと思う、名を聞いてその名を初めて呼び、そして何と続けようとしたんだろう…
でもかなわなかった、今生の別れの際まで、忍びであることで、幼少期に買われ名を持たぬことが本当に忍びの中では当たり前なのだという
ただその1点についての理解(そしてお国の不理解への無門の不理解)を共有していなかったために…
それは一端にしか過ぎず万事がそうだったのだろうと思える
あまりにも悲しい、
あーだめだまた泣いちゃうよ…、



あと知念侑李くんが可愛く情けなくてよかったですね…!← わたしも父親コンプあるよ~! お揃い!ヽ(*´∀`)ノ
攻撃的なのは傷ついてるからなんだよね!
彼も戦うところや成長が観られるのかと思いましたがこれはこれでよかったです可愛かったです。

(追記)彼は非力でありながら弱い己をさらけ出し、そのことで家臣の忠誠を得ました。それはいくら強くとも同胞の心を動かすに至らなかった無門との対比なのかなと、最初の方を読み返してて思いました。両者とも妻を失っていますが、その経緯も対照的。信雄は妻をどう思っていたのかな…、妻は彼の弱さを知っていたらどうしたのだろう…、(ここまで)

個人的好みなJUMP内ランキング1、2を争います。これは余談じゃないんだよ… なんなら円盤購入動機の一端を担ってるよ…



アクションがものすごいとかはもちろんそうすぎて、ただなんていうかそちら方面の語彙がなさすぎて、ストーリーやキャラクターばかりになりましたがほんと大野さんリアル忍者だなってもちろん思いました! つなぐももちろんめっちゃ噛み締めて聴きました!



私はじめこれTwitterに書くつもりでしたが、文字数合わせながら10連ツイになったあたりで悟ってよかった。結果長くなったのでブログにしてよかったです。
普通ブログって自己紹介からはじめたりしますよね、でもこれ限りで二度と書かないかもしれないし…、だけど書くかもしれないし承認欲求ゆえに匿名にしたくなかったのでこんな感じになりました。

個人の感想です。もちろん異論は認めます。炎上したら、怖いから訂正するか鍵かけるか消して逃亡します。
読んでいただいた方ありがとうございます。
FF内の皆様今後ともなにとぞよろしくお願いいたします!



※原作を読んで、本当に真逆な印象のところがあったのでそこだけ追記です

お寺で大膳とお国が戦うシーンってありました…? 私気を失ってた? でも確かに、なんか構えるお国とか…、我が女房に云々言う無門を観たことがあるような??? ともかくやっぱりお国の身の危険が契機ということで、無門覚醒には納得です。ですよね!!!

それと、ふたりの別れのシーンです。無門は名を持たぬことさえ当たり前と思っていると、映画では思いました。お国に序盤で問われたところと、ネズミくんのところと、本当の名を気にしているようには見えなかった(と思う…、たぶん…)からです。でも、それは少なくとも彼が押し殺した思いで、普段は意識の瀬に上ることはないのだと思うからそう見えていいんですよね
私の、そこは、忍びというものをキャラクターとして捉えすぎたかなというか…、自分の名がないってことが平気なわけないってことを、なんか感じる心が抜け落ちてました
それだけ説得力ある演技だったよということでひとつ…!

それと、忍びの国観る前、せっかく劇場で聴けるからと思って、つなぐをしばらく聴き控えてたんですが
帰ってきて普通にuntitledを聴いたらもう浮かぶのは無門とお国のシーンだったんですよね…
どこにあるか分からないけど楽園を夢見た、でバーッと涙がでた…
主題歌ってすごい、そして全てを知りながら、歌い踊るアイドル嵐の曲としてきちんと作り上げた大野さんは本当に最強と思いました!
絶賛大野さん溺愛期です(わりといつも)(というか嵐みんな)